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小さな声をヒントに。<TAKU GLASS>が仕掛けるガラスとの新しい出会い【後編】

2024.12.24. Tue.

弥彦村 TAKU GLASS(タクグラス)

ガラスでありながら、柔らかさや温かみを感じる<TAKU GLASS>の品々。作っているのは、彌彦神社の前にお店を構えるガラス作家・野澤拓自さんです。個性的なフォルムの風鈴が有名な<TAKU GLASS>ですが、干支や鏡餅をモチーフにした商品も根強い人気があります。野澤さんの工房で、ガラスの干支ものについてうかがいました。

日常に馴染む「かわいい」を求めて

干支ものを扱い始めたのは創業の翌年、2014年から。「今年で干支を一周しました」と野澤さん。2025年は巳年ということで、店頭にはさまざまな蛇の置物が並んでいました。頭を持ち上げてこちらを見つめる蛇やガラス玉に巻きつく蛇、5円玉をくわえたり、舌を出している蛇もいます。5円玉サイズの小さな置物は、シリーズで集めようと毎年買いに来る方も多いそうです。

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▲ずらりと並んだ巳年グッズ

「やっぱり、人ってどこかかわいいと感じるものを選んでしまうし、飾りたいと思うじゃないですか。だからモチーフらしいフォルムと、かわいらしさの両立には毎年悩みます。蛇は特に難しかったですね。渦を巻いている様子や長い身体は、気持ちが悪いと感じる人も多いと思うんです。写実的にしすぎず、でも蛇だと分かる形を模索しました」。

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▲つぶらな瞳と丸みを帯びた顔。確かにかわいい…

蛇の成形は、加工面でも高い技術力が求められます。野澤さんがデモンストレーションをしてくれました。

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▲吹きざおに巻き付けたガラスに息を吹きかけながら、手早くのばします

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▲のばしたガラスをひねって身体を作ります

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▲吹きざおからガラスを切り離して、

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▲顔の向きを整えたら、あっという間に蛇になりました

「熱いと柔らかくてどんどん細くなるし、冷めると固くてのびないので、息を吹きかけて温度を調整します。引っ張る力加減も重要で、尻尾やお腹が太いと頭が小さくなる。逆に身体を細くしすぎると、頭でっかちでバランスが悪い。かわいいと思えるフォルムを作る絶妙な力加減を見つけるのに苦労しました」。

長く、何度も使って欲しいから

<TAKU GLASS>のガラスは、普段使いのしやすさが特徴です。例えば、グラス。やさしい口当たり、安定感のある形、ゴシゴシ洗っても壊れにくい厚み…。見た目の華やかさはもちろん、使い手の気持ちにとことん寄り添って作られています。

 

「作っているのは、あくまで生活の道具。多少雑に扱っても大丈夫だなと思えるものでないと、日常使いしにくいじゃないですか」と笑う野澤さん。壊れたら買い直そうと思えるよう、手に取りやすい価格設定にもこだわっているといいます。

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▲たくさんの形や色から、お気に入りを選ぶことができます

お店の棚にもやさしいこだわりがあることにお気づきでしょうか。ガラスを置いたときに音が鳴らないよう、木製で統一しているのです。手に取りやすいようにという小さな心遣い。「使い勝手が良いと感じる重さや大きさは人それぞれ。しかも年齢やライフステージとともに変化する、うつろいやすい感覚です。だからこそ、気兼ねなく手に持って比べてもらいたいと思っています」。

新しいガラスと出会える場所

前回のご紹介から、越品ステージで扱う<TAKU GLASS>のラインナップも変化しています。この5年間を振り返ってもらいました。

 

「コロナ禍当初は不安でしたが、ピンチはチャンス。県外移動が難しくなったとき、県内のお客さまがたくさん来てくれたんです。私たちにとっては、県内の皆さんとの新たな出会いのチャンスでした。越品ステージも新しい出会いの場。私自身、お客さんとして覗きに行った時には、『新潟にこんなものがあるんだ』という発見があります。<TAKU GLASS>も同じように、驚きやワクワクを届けられていたらうれしいです」。

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▲ガラス作家・野澤拓自さん

「さらに良いものができないか」と真摯にガラスと向き合い続ける野澤さんが、一番大切にしていること。それは、「新しいガラスとの出会い」です。

 

「商品を見て、触れて、使ってみて、もっとたくさんの方にガラスを楽しんでもらいたい。何より、自分自身が今までにないガラスの可能性に出会いたい。これからもお客さまの声やご縁を大切にしながら、面白いものづくりを続けていきたいですね」。

 

 

<取材後記>
工房で繰り広げられる一瞬たりとも気の抜けない連携プレー。鮮やかな手さばきの邪魔にならぬポジションは…と、探りながら撮影しました。少年のような笑顔で工程を教えてくれた野澤さんですが、取材中にはプロフェッショナルな顔をのぞかせる一幕も。「仲間の作業を無駄にせず、絶対に商品へと仕上げるのがプロ」「常に不安。でも、不安にならないものは面白くない」「楽しいことは楽ではないでしょ?」他でもない、野澤さん自身が誰よりも全力でガラスを楽しんでいるから、お店であんなにも心が踊ったのだと納得した一日でした。

 

 

TAKU GLASS
〒959-0323 新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦3022-4
電話:0256-78-7741

 

取材・文章:鵜野梨奈(ザツダン株式会社)

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