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バッグで切り開く、輝く未来。<スパンギャルド>の挑戦【後編】

2023.09.01. Fri.

新潟市 スパンギャルド

断裁ゴミが出ないサステナブルな縫製方法。障害のある方がものづくりの楽しさを体験できる事業モデル。<スパンギャルド>のバッグは、使い勝手やデザイン性の良さに加え、社会課題にアプローチする製造工程も魅力の一つです。

工場育ちの工場好きだからできること

商品企画を担当している残間健太郎さんは、幼少期から工場に出入りしていた筋金入りの工場好き。取材日の前週も大阪を訪れ、プリント工場と毛布工場、計3軒の工場を視察したそうです。「例えば、同じ機械を使っている毛布工場でも、針の間隔や糸を折る幅などセッティングの仕方が微妙に違います。その小さな違いができあがる商品の風合いをガラリと変えるのが面白くて。自分たちに置き換えたら何ができるだろう?って、行けば必ず新しい事業や商品のヒントが落ちています。面白そうだと感じたら、どこへでも行きますよ」。

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▲「僕はおしゃべり担当」と母の静子さんに笑いかける健太郎さん。業界や職種を問わず全国各地に豊富な人脈を築いているそうです

工場視察では、その工場でしかやっていないことがないかを必ず聞きます。ユニークな視点、知らなかった技術に触れて新事業のアイデアがひらめいたら、すぐに商品開発に着手。「あ!と思った瞬間に動きます。だって、ホームランを打つためにはまず打席に立たないといけませんから。その代わり、小ロットで作り始めてみて、うまくいかなければすぐに止めます。自社工場があるからこその強みですね」。

 

工場を回って知識を蓄えたからこそ生まれた断裁ゴミを出さない縫製方法。さまざまな場に顔を出し、人脈を広げたからこそつながった就労支援施設とのご縁。そして、集めたピースの価値を見極め、うまく組み合わせる発想力。唯一無二の付加価値は、地道に足で稼いできたつながりと経験からもたらされていました。

 

お墨付きをもらって、新潟のお土産に

全国各地の百貨店で催事に立つこともある健太郎さん。売れ行きはもちろん、商品を大切に扱ってくれるかどうかをいつも心配するそうですが、NIIGATA越品は安心して任せられると言います。「先に出品していた友人たちから話を聞いて、NIIGATA越品ならぜひお願いしたいと思っていました。商品の良さを丁寧に伝えてくれていると感じます」。

 

続けて、NIIGATA越品の売り場は非常に独特だとも教えてくれました。「首都圏に住む知人はお正月に新潟へ帰省すると、とりあえずNIIGATA越品のブースに行きお土産を探すそうです。駅ナカの土産物売り場よりも個性的で新しい新潟の品々が置いてあるから、NIIGATA越品で買えば間違いないと」。

 

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▲新潟市東区にある本社工場の一角には、これまで制作してきた商品がアーカイブされています。将来的にはここでも商品を購入できるようにしたいそう

「NIIGATA越品にスパンギャルドを選んでもらったことは、ある種のステータスのように感じています。テレビ取材などで商品の購入先を聞かれた時は、必ず『新潟伊勢丹です』と答えていますよ(笑)」。

隠れた繊維産地、新潟を全国へ

スパンギャルドの商品はどれも、Made in Niigata Japanを打ち出しています。「実は新潟県は隠れた繊維製品の産地で、生産数は全国トップクラス。伝統工芸品の種類も職人の数も多くて、ものづくりに長けた地域です。でも、県民でも知っている人が少ないためか、徐々に衰退しているのも事実ですね」。確かに米や酒に比べると、ものづくりの印象は薄いかもしれません。しかし、県外に出ると新潟が有するものづくりの歴史や技術は立派な強み。「新潟の繊維産業とものづくりの素晴らしさをもっとアピールしたくて、県内の企業や地域の皆さんを巻き込んだ商品づくりにこだわっています」。

 

WWWBAG製法のトートバッグ、PASTORAL(パストラル)シリーズで刺繍を担当しているのは、新潟県五泉市にある塚野刺繍株式会社です。「立体的な奥行きやモチーフごとの質感、グラデーションなど僕のわがままなオーダーを全て形にしてもらいました。塚野刺繍さんの技術力の高さと粘り強さのおかげです。ぜひ商品を手に取ってじっくりご覧ください」。

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▲白糸1色のみで描かれた雲。糸を打つ角度を変えて、立体的に見えるように描いています

大企業にはできない小回りの良さ、既存のものを掛け合わせて新しい何かを生み出す企画力、そして地域に根付く伝統の技。それらを組み合わせたものづくりこそ、他国に対する日本の、そして他県に対する新潟の強みだと断言する健太郎さん。「これからも業種の垣根を超えて面白い人や企業と手を組み、誰にも真似できないことを仕掛けていきたいです」。

<取材後記>

点と点をうまく結びつけて、困りごとや課題を解決する<スパンギャルド>。難しい問題ほど楽しそうに答えを探している姿に、私もワクワクさせてもらいました。ものを買うという行為は、一種の投票だと思います。機能性、デザイン性、価格。購入の決め手は自己中心的なものだとしても、商品にお金を払うことが作り手への応援になるからです。取材の最後に、「遠回りかもしれないけれど、新潟が盛り上がればうちも儲かるだろうと思っています」とにこやかに話した健太郎さん。新潟で暮らす以上は、私も新潟を盛り上げる一票を選びたい。今度の帰省のお土産は、NIIGATA越品に探しに行こうと思います。

 

 

株式会社スパンギャルド

〒950-0056 新潟県新潟市東区古川町1-5

電話:03-5384-3626(東京企画室)

 

取材・文章:鵜野梨奈(ザツダン株式会社)

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