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バッグで切り開く、輝く未来。<スパンギャルド>の挑戦【前編】

2023.09.01. Fri.

新潟市 スパンギャルド

形や大きさは違えど、誰もが1つは持っているバッグ。一般的な製法では、使われる生地の約15%が断裁ゴミとなってしまうことをご存知でしょうか。「断裁ゴミや残った生地の山をどうにかしたい」という思いから、一切無駄が出ない画期的な縫製方法を生み出した<スパンギャルド>。新潟市東区にある縫製工場を訪ねました。

まだ世にない「面白い」をかたちに

社名のスパンギャルドは、「スパンコール、ピカピカ光るもの」を意味するspangle(スパングル)と、「前衛的」を意味するavant-garde(アバンギャルド)を組み合わせた造語。「母が立ち上げた縫製工場を法人化する時に、輝く前衛的なものを作る会社にしたいという思いを込めました。2023年で17年目になりますが、今ようやく面白いと感じたことを仕事にできています」と教えてくれたのは、取締役であり同社の商品企画を一手に担うプランニングディレクターの残間健太郎さん。物心がつく前から縫製工場に出入りし、小学生の頃からミシンを踏んでものづくりのお手伝いをしてきた、根っからの職人でもあります。

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▲縫製に限らず全国各地の面白そうな工場に見学に行くのが趣味と語る健太郎さん

縫製技術で捨てられる生地をゼロに

NIIGATA越品で取り扱っているPASTORAL(パストラル)シリーズは、健太郎さんが開発した「WWWBAG製法」(現在、製造特許出願中)で作られています。WWWは、World Without Waste(ゴミを出さない世界へ)の頭文字。「バッグは製造工程でどうしても断裁ゴミが出ますが、その量がものすごいんです。廃棄するには費用もかかるし、保管しておくにも幅を取る。そこで作り方を見直して、そもそも断裁ゴミが出ない縫製方法を開発しました」と健太郎さん。

 

その製法を簡潔に説明するならば「折り紙」。長方形の生地を折り畳みながら縫い留めていき、バッグの形に仕上げていきます。実際に工場で縫製の過程を見せてもらいました。

 

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▲端を折りたたんで内ポケットを作った状態から縫い上げてもらいます

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▲まずは、小さくつけた目印に合わせて持ち手をつけます。デモンストレーションをしてくれたのは健太郎さんの姉、白石香里さん

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▲生地を折りたたんで両サイドを縫い合わせます

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▲あっという間にバッグらしい立体感が出てきました

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▲最後に、角に折り癖をつけて三角形に縫い留めると…

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▲もう完成。平面だった生地が、魔法のように立体のバッグになりました

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▲ちなみに、デザインのアクセントになっている刺繍は、長方形の生地の段階で施されています

一般的なバッグは最初に作りたい形を決め、その構造に必要なパーツを生地から切り出していきます。対して、折り方と縫い方を工夫して、長方形の生地をカットせずにバッグに仕立て上げるのがWWWBAG製法。縫い代を隠すために使われるテープなどの副資材が全く要らない点にも驚かされます。

 

「縫い代がきれいに隠れるような折り方になっているんです。初めて見ると不思議ですよね。これは縫製を長年やっている人でないと、理屈が分からないと思います」と笑う健太郎さん。自ら手を動かしていた職人としての知恵と、さまざまな工場を見学して得た知識。あらゆる縫製技術を熟知している健太郎さんだから完成させることができたバッグです。

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▲9月に行われる越品WEEKでは新作のポシェットがお目見え。刺繍ではなくワッペンが施され、これまでよりもカジュアルな印象になりました

余った端切れと就労支援を縫い合わせて

新商品はポシェットだけではありません。同社が最初に立ち上げたブランド「THE CANVET(ザ・キャンヴェット)」から、パッチワークが可愛らしい新作ラインナップが越品WEEK期間中のみ販売されます。こちらは、バッグを作る際に出る端切れや中途半端に余ってしまう生地を活用した商品。端切れを縫い合わせてパッチワークを作っているのは、新発田市にある就労継続支援A型事業所で働く皆さんです。

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▲パッチワークの組み合わせはバラバラ。つまり、ひとつひとつ手作業で縫い合わせた一点もののバッグです

「友人の紹介で工場見学に来られた施設の方から、適正価格で受注することが難しいと伺いました。それでは施設の経営は苦しくなる一方で、就労支援も続けていけません」。そこで、適正な工賃をきっちり支払うかわりに、取材協力を依頼。実情のアピールや商品の宣伝にも力を入れ、事業の継続を目指しました。4年ほど前に始まった取り組みですが、職員を介して技術指導を続け、現在は3枚の生地を縫い合わせる作業まで習得。最終目標は、バッグを丸々仕立てられるようになることです。「ものづくりの楽しさを知って、うちに就職したいと思ってくれる人が出てきたらうれしいですね」。

 

生地を断裁する際に余ってしまう端切れの処理問題は、縫製業に関わる他の企業も同じ。今、健太郎さんがハブとなって、廃棄される生地から新しい商品を生み出す流れがいくつもでき始めているのだそうです。後編では、柔軟な発想力の秘密や今後の展望などについてうかがっていきます。

 

 

株式会社スパンギャルド

〒950-0056 新潟県新潟市東区古川町1-5

電話:03-5384-3626(東京企画室)

 

取材・文章:鵜野梨奈(ザツダン株式会社)

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