長岡市 加勢牧場
欧米では「ゴールデンミルク」とも呼ばれるほど希少なガンジー牛乳。長岡市の加勢牧場を含む、全国3牧場だけで飼育されるガンジー種の牛から搾られたミルクです。NIIGATA越品では、この牛乳を使った「ホワイト生チョコ」と「クレームアンジュ」をバレンタインの限定商品として企画。商品開発は、加勢牧場が運営する直営店のパティシエにお願いしました。「ガンジー牛乳が主役のスイーツ」の誕生には、「いかに牛乳を邪魔しないか」という問題をクリアする必要がありました。
削ぎ落とすレシピ開発
2018年10月にオープンした「加勢牧場-わしま本店-」では、ガンジー牛乳を使ったアイスクリームやプリン、シュークリームなどを販売。店長でパティシエの樋口幸生さんは「お店をきっかけに、加勢牧場のガンジー牛乳を多くの人に知ってもらいたい」と語ります。
NIIGATA越品のホワイトチョコ開発で、樋口さんを悩ませたのが材料の選択でした。「さっぱりしてクセがないのが、ガンジー牛乳の生クリームの長所。でも、チョコ自体に脱脂粉乳などが入っていると味の邪魔になります」。普通のチョコではなくホワイトチョコを選んだのも、なるべくミルクの味を引き立たせるため。10種類以上のホワイトチョコを取り寄せて試作を繰り返しました。
「ガンジー牛乳を使うスイーツは、真逆の発想が求められます。ケーキなどは基本的に味を重ねていくことでレシピを作りますが、ガンジー牛乳で同じことをやるとミルクの魅力が活かせない。いかに削ぎ落とすかで頭を悩ませています」。
この牛乳を広めるために
パティシエ、シェフ、そしてソムリエと、3つの顔を持つ樋口さん。以前は長岡市のイタリアンレストランで料理や洋菓子を作っていました。当時から加勢牧場のガンジー牛乳に惚れ込み、スイーツやチーズの材料に使っていたそうです。2016年にレストランが閉店したため、加勢牧場の商品開発担当に。わしま本店で販売されているガンジー牛乳のカプチーノも、樋口さんのアイデアです。
「ガンジー牛乳は魅力的ですが、正直なところパティシエ泣かせなところもある。ミルクの良さをストレートに表現するためにはシンプルに仕上げることが重要で、味のバランス調整がシビアです」。
貴重なガンジー牛乳の値段は、一般的な牛乳の2倍以上。初めての人にいきなり牛乳を買ってもらうのは難しい。加勢牧場がジェラートやケーキなどの商品展開に積極的なのは、ガンジー牛乳の魅力を広めたいという思いがあるからです。「加勢牧場のガンジー牛乳を日本一のブランド牛乳にするのが目標。そのために私は、色々な切り口からガンジー牛乳の楽しみ方を伝えていきたいです」と樋口さんは語ります。「牛乳を使った製品だけでなく、牛乳と一緒に味わうための製品も考えてみたい。まさにマリアージュ(料理とワインを合わせること)と同じ発想です」と、ソムリエ視点からの商品開発も考えているそうです。
バレンタインにふさわしい越品
これまで数多くの新潟の名品を紹介してきたNIIGATA越品ですが、百貨店の強みをさらに活かすために力を注いでいるのが、季節のイベントに合わせた売り場づくりです。クリスマス、新春に続いて、バレンタインの企画を考えていたバイヤーの長谷川雅史が出会ったのが加勢牧場でした。「あるお客様との打ち合わせの後に、『今日オープンだから行ってみよう』と誘ってもらったのが、わしま本店でした」。
希少価値の高いガンジー牛乳。それが新潟の牧場で作られていること。パティシエを社員に招いて開発した商品が、直営店で販売されていること。そして、その日に食べたジェラートとフロマージュがおいしかったこと。「NIIGATA越品でご紹介したいと思える条件が全て揃っていました」と、長谷川は振り返ります。
加勢牧場のホワイト生チョコとクレームアンジュ。カカオの香りにひたるバレンタインもいいですが、今年はゴールデンミルクの贅沢な爽やかさに包まれてみませんか。
有限会社ケーエスファーム
加勢牧場
〒949-4505 新潟県長岡市根小屋325
電話:0258-74-2863
直営店『加勢牧場-わしま本店-』
〒949-4052 新潟県長岡市黒坂 615 いやしの郷内
(国道 116 号線 和島バイパスのすぐ脇)
電話:0256-78-8866
営業時間 :10時 ~ 7時
定休日:毎週火曜日
取材・文章・撮影:横田孝優(ザツダン)