TOKYO解放区デザイナー“知る”インタビュー Vol.2

なぜ「形見をデザインする」がコンセプトなのか。〈RURI.W〉の服作りへの想いを紐解きます。

このページをシェアする

2020-02-12

 

伊勢丹新宿店では、2月26日(水)より、作り手の哲学に触れてお客さまにファッションを選んでいただくことをテーマにしたニューカマー企画「TOKYO解放区 “知る”」を開催いたします。店頭にはクリエーションの過程に「哲学」のある4ブランドとして〈koll(コール)〉、〈RURI.W(ルリ)〉、〈SREU(スリュー)〉、〈BELPER(ベルパー)〉を展開。

これら4ブランドをよりたのしく知ってもらうための連載インタビュー第2弾。今回は〈RURI.W〉のデザイナー渡邉さんへのインタビューをTOKYO解放区バイヤーのちばと一緒に行いました。 

 

 

―――デザイナーになろうと思ったきっかけは?

そんな大それたことでもないのですが、5歳くらいで、私はデザイナーになることを決めました。子どもの頃にフロリダのディズニーワールドに行きました。そこにパーク内でキャラクターが着るユニフォームを作っている作業場を見せてくれるアトラクションがあったんです。デザイン画が壁にいっぱい貼ってあり、ミシンがずらりと並んでいる部屋に入ったら、時が止まったと言うか、私もこの仕事をしたい!と思ったのがデザイナーを目指したきっかけです。そう思い込んだまま大学でもファッションを学びました。大学ではデザイナーになりたい思いの先にある、どんなデザイナーになりたいのかと考えるようになって。その頃、東京で活躍している日本人デザイナーの方の中で、海外留学経験者が多かったんです。なので、私も留学しないとデザイナーにはなれなのか!と思い込み、ロンドンへの留学を視野にいれるようになりました。

 

image

 

両親はファッション業界の人では無いので、全く知らぬ道へ進もうとする私に、不安があったと思いますが、理解と支援を受け、ロンドンカレッジオブファッションへ、3年間ほど留学させてもらいました。そして、ロンドンの学校に進学してからも、東京にいた時と同じ、どんな層にアプローチする、どんなデザイナーになりたいのか?その仕事を手に入れるために、自分はどうなりたいのか、を自問自答することから全てが始まりました。イギリスの大学では、アイデンティティを確立するということが、大変、重要視されてましたね。今、ファッションデザインの講師のお仕事もしているのですが、自分が学生の時代にイギリスで学んだこと、リアルに感じたことを今の生徒たちに伝えられるのは良かったなと思います。

 

―――ロンドンで過ごした3年間、大きく変わったことはありましたか?

 

日本にいたときは、髪色、目の色、制服、受けている教育、文化も、いつもみんなと同じで過ごしてきて、イギリスに渡って、急に自分のアイデンティティを問われても、正直、分からなかった。留学先には、多彩な国籍の自身の個性が分かっている人たちがたくさんいましたから。私も、自分の個性が明快に分からないながらも日本人っぽいデザインを提出するんですが、大学の教授たちは全然、満足してくれませんでした。そこから試行錯誤を繰り返し、悩んで辿り着いたのが自身の経験から、どうやって人の死を乗り越えるか、ということ。大好きだった人が亡くなって、それを忘れたくないと言うか、いつも思い出したいと言うか、その人のために何かがしたいみたいな気持ちがベースになっています。大学の卒論のテーマにも選んだ、形見をデザインする、といった発想はそこから生まれました。

 

―――それが渡邉さんのブランドである「RURI.W」のコンセプトにもなっているんですかね? 

そうです。まず、一番初めにインスピレーションソースとなったのは、私の祖父。私が小学校4年生の時に亡くなったのですが、生前、祖父が好きな写真だけをまとめたアルバムがありまして、その時系列もバラバラで並んでいる写真たちをヒントに、アイデアを広げることに。生前の祖父はどんな洋服を着ていて、どんなものが好きだったのかといったことを想像し、デザインを展開しました。祖母は祖父の形見として、たくさん洋服を保存していました。

 

image

 

時代遅れのデザインだったり、傷んでいたりと、着用する事ができないものだから、恐らく祖母が亡くなった際に一緒に処分されてしまうはずの祖父の形見をリメイクするのではなく、祖父の生きた証を背景にした新しい服を提案したかった。それを現在を生きる誰かが着てくれるのはうれしいことです。そして、その人がその服を自分の子どもに、さらに孫にと受け継がれていく形見のような服を作りたいと思ったんです。今後も扱うテーマは変化しても、その十分に背景をリサーチして、物語を服に落とし込んでいければいいなと。服は着てくれる人がいないと完成しないので、その私の服を選んでくれた人たちに温かい気持ちになってもらえる服を作っていきたいです。

 

―――そのような考えに至ったきっかけがあったとか。

はい。私がファッションは嗜好品であって、それがなくても人は生きていけるし、ファッションで人を助けることはできない・・・と考えていたときに、医者になった幼馴染に言われた言葉きっかけでした。医者は病気を治すことはできるけど、病に臥せっている患者さんたちがお気に入りのパジャマを着たとき、可愛い帽子を被ったときに感じる幸福感は与えられない。それができるのがデザイナーじゃないの?と言われて。その言葉をきっかけに、より背景のある、気持ちを込めた服が作りたいと思うようになりました。そして、その服に、買ってくださった方の感情や思い出が重なって、さらに特別な服になっていくことができたら幸せですね。

 

―――では、デビューコレクションのテーマはお祖父さまのワードローブから?

image

 

そうです。祖父は色々なテイストの服装を好む人だったので、デビューコレクションから現在まで祖父のスタイルをヒントにしたものが続いています。初めてのシーズンは、地元の祭りの際の白装束が着想源に。2シーズン目は祭りの法被がデザインソースになっています。

 

―――2020年春夏のコレクションについて聞かせてください。

アプレボーイと呼ばれる、少年たちのスタイルがテーマに。それも祖父のアルバムから見つけました。戦後、お金がないながら、アメリカの軍の制服や古着をリメイクしておしゃれしていた若者たちが生み出したボルドールックなどがスタート地点になっています。その時代の古着をリサーチし、そのエッセンスをレディスウエアに落とし込みました。その時代、化学染料の発達によって世界中でピンクが大流行したそう。

 

 

今季は、そのピンクにもフィーチャーしました。2020年春夏でアプレボーイをリサーチしている時に、アプレガールと呼ばれる女性たちがいたことも知りました。彼女たちには、男性とは違った意味で時代に翻弄されながら生きた人生の影の部分があって、とても興味を惹かれています。次回の秋冬コレクションでは彼女たちに焦点を当てるつもりです。

 

―――そうやってリサーチをしながら、どんどん新しいテーマが湧いてくるのですか?

そうですね。一つのことを掘り下げて調べているうちに、その時代に存在した別の人たちや事柄がとても気になることがあります。背景を丁寧に描き出すと言う手法は変わりませんが、テーマは常に私の好奇心を刺激するものに変わっていくんです。

 

 

―――リサーチはどんなところで、どんなふうにされるんですか?

今春夏のコレクションではまず、祖父のアルバムを見ることからスタートしました。

 

 

そして時代背景などネットで軽くリサーチしてから図書館に行きます。ネットだと必要だと思う情報しか入ってこないので、偏りがある。なので、図書館に行き、手当たり次第に気になる本を手に取ります。しっかり論理立てないと進めないタイプなんです。そう言うと、直感的ではないのね、と勘違いされそうですが、直感に辿り着くためには、真実をしっかり知ることが必要。歴史を正しく捉え、道筋を立てます。長い歴史のどの部分をピックアップするかは直感で選んでいます。

 

―――その後、実際の服作りが始まるのですねかね?

図書館でのリサーチ後は、実際にその時代に作られた服の現物も探します。祖父のワードローブに残っているものはそれを。仕上げの始末や細かいところまで研究し、その時代のムードが伝わるようにデザインしたいなと。かつてのデザインから変え過ぎないけれど、新鮮に見えるものを作りたいので、何がヒントになっているのかリファレンスが自分の頭の中でしっかり整理できている状態が理想的。その段階に入ったら、デザイン画を描き始めます。

 

―――コレクションを作るプロセスの中で一番、楽しいのはどこですか?

 

今回のテーマは何にしようかな?と考えている時間とデザイン画を描いている時が好きです。逆に辛いのはパターンをひくことですかね。パターンは、1mm単位のことで正解がないので、煮詰まることも。

 

―――では、コレクションを作る上で一番、大切にしていることは?

ブランドのコンセプトからブレないことです。

 

―――将来のビジョンは?

今の目の前の目標は、ブランドを支え、応援してくれている仲間、家族、生地屋さん、縫製工場さんの皆さまそして顧客さまの期待に応えるよう、活動の場を増やすことですね。1人でも多くのお客さまにブランドを通して出会いたいです。そして、何歳になるかわからないですが、定年をするころまでにブランドを存続、発展させ、60歳くらいになったら、ファッションを学ぶ学生に向けたファンドを作りたいです。家庭環境、経済状況ではなく、本人がどんなデザイナーになりたいか?将来設計をしているか?などを加味して、より可能性が高い学生をバックアップできるファンドを立ち上げられたら、と。私の留学時の経験からしても、そんなファンドがあったら道がひらける若者はたくさんいると思います。その前に、まずブランドを一人前にしないとですけど(笑)。今回、伊勢丹新宿店のTOKYO解放区のイベントに誘っていただいたのも、ブランドにとっては大きな一歩になりました。私は色々なお洋服が並ぶ伊勢丹新宿店が大好きです。いい香りに包まれて、素敵な服を見ているだけで幸せな気持ちに。そこに自分が作った服が並ぶのはとても光栄なことですね。

 

 

(ライター:川上朋子)

 

TOKYO解放区 “知る”

TOKYO解放区によるニューカマーのご紹介の企画として、「TOKYO解放区 “知る”」を開催いたします。「知る」ことにより、おぼろげなものが実態を持つ。毎日すごくたくさんのことを考えながら生活している人でさえ、お買い物という行為になると、一気にたのしい!かわいい!と直感的に進めていきがちな中、いつもよりも、少しだけ、商品やデザイナー、クリエイションに対する姿勢などいろいろなことを『知って』買う。そういうお買い物をしていただくのも素敵な体験になるのではないかと思っております。これからのTOKYOのファッションシーンを彩る4ブランドを中心にコラボレーション商品等も多数ご用意しておりますので、ぜひご来店くださいませ。(TOKYO解放区 バイヤー ちば)

 

お取り扱いブランド:〈koll(コール)〉、〈RURI.W(ルリ)〉、〈SREU(スリュー)〉、〈BELPER(ベルパー)〉、〈nana kamio(ナナカミオ)〉、〈gui flower(グイフラワー)〉、〈lumgo,se(ルミゴーシェ)〉、〈Maya Numata Graphic(マヤヌマタグラフィック)〉
会期:2月26日(水) ~ 3月10日(火)
場所:新宿伊勢丹 本館 2階TOKYOクローゼット RestyleTOKYO内

 

 

TOKYO解放区「知る」会期中には、 三越伊勢丹アプリをダウンロードしていただいた先着500名のお客さまに、「TOKYO解放区2020年ロゴ入り」の〈Maya Numata Graphic(マヤヌマタグラフィック)〉によるステッカーをプレゼントいたします。

※なくなり次第終了となります。

 

 

TOKYO解放区デザイナーをもっと“知る”インタビュー

 

 

TOKYO解放区

関連ショップ情報

TOKYO解放区

本館2階 | 婦人服,婦人雑貨・靴

このページをシェアする

RECOMMEND

その他のおすすめイベント

クリアランスセール開催中 新宿店ブランドカレンダーはこちらから

クリアランスセール開催中 新宿店ブランドカレンダーはこちらから

開催中 ~ 8月31日(月)

MITSUKOSHI ISETAN+TANABATA

MITSUKOSHI ISETAN+TANABATA

6月23日(火) ~ 7月7日(火)

<プラダ>  AQUA POP UP STORE

<プラダ> AQUA POP UP STORE

7月1日(水) ~ 7月7日(火)

<TASAKI> balance 10

<TASAKI> balance 10

7月1日(水) ~ 7月30日(木)

マスクプロジェクト

マスクプロジェクト

6月17日(水) から

伊勢丹新宿店 お中元ギフトセンター

伊勢丹新宿店 お中元ギフトセンター

6月3日(水) ~ 7月13日(月) 最終日午後6時終了 ※ONLINE STORE 承り中

三越伊勢丹オンラインストア

三越伊勢丹オンラインストア

5月7日(木) から

ポップアップストア NUDO – COLOR OF JOY <POMELLATO / ポメラート>

ポップアップストア NUDO – COLOR OF JOY <POMELLATO / ポメラート>

7月8日(水) ~ 7月14日(火)

新宿店 ランドセル 店頭販売予約制、チャット・動画接客サービスについて

新宿店 ランドセル 店頭販売予約制、チャット・動画接客サービスについて

5月30日(土) ~ 8月4日(火) ※状況によって変更となる場合がございます。